α7sを選んだ理由について
とある理由で、良い画質で撮れるカメラが欲しくなりまして、色々見ていますが、そのなかでもSONYのα7sがとても気になっています。いや、気になっているというより、もう買おうとしています。
でも、調べていて、「高感度で暗い場所でも撮れる」という特徴が強調されすぎてて、どこに注目したら良いのかわからなくなってきたこともあり、ポイントをまとめてみようと思います。
画素数が小さいメリットに注目
デジタルカメラの画素数が多くなる傾向があります。これは一般的な感覚で、「画素数が高いときれいな画像が撮れる」と考えられている傾向があるためだと思います。商業的に画素数を多くしていかなければ注目されないというのがあると思います。しかしα7sはフルサイズカメラとしては低画素数のカメラです(最高で1220万画素)。フルサイズという決まったサイズの中の画素数が少なく、そのため個々の画素サイズが大きくなってるわけです。画素数が多くなる傾向のデジカメ界の中でそれを敢えて小さくしています。つまりそこにメリットがあり、そのメリットを最大限に活かせるような仕組がα7sにはあると考えてよいでしょう。
暗い場所でも多くの色が撮れる
画素サイズが大きいとダイナミックレンジが大きいと言われています。*1*2
ダイナミックレンジというのはカメラが感知できる明るさと暗さの範囲の大きさと考えてよいと思います。画素数の多いカメラだと暗いところを撮ろうとすると明るい場所が真っ白になり色が飛んでしまいます(白飛び)。逆に明るいところを撮ろうとすると、暗いところが黒くなり、よく見えません。画素サイズが大きいとその傾向が少なく、一枚の画像の中で明るいところも暗いところも色が飛ばずによく見えるということになります。
α7sは暗いところに強いカメラと言われています。白飛びやしやすいが暗いところには4段から5段の余裕があるという評価をしている方もいます。*3
ただ、暗い方向へ性能が寄りすぎているのか、明るいところの色が出ないという報告もあります。*4
数値的に見てもα7sは高照度時よりも低照度時のダイナミックレンジに分があるようです。*5
暗い場所でもシャッタスピードを速くして撮れる
画素サイズが大きいと受け取れる光の量が必然的に増えます。そのため、シャッター開放時間を短くしても画像を映すのに十分な光量が採れます。*6
また、
ISOのレンジも広いので暗いところでも明るく写せる*7=暗いところでもシャッタスピードを速くできる
だと思います。
肉眼では見えない暗さでも写せる
暗い場所で撮るということを考えると、多少の光があればカメラには写せるのだと思います。しかし、それよりも暗い場所で写す場合、例えばオーロラとか*8、室外でたき火*9、室内でろうそく*10など、超低照度環境での撮影が可能になります(例は全て動画ですが)。何がすごいかというと、「今まで写せなかったものを写せるようにした」ところです。他のカメラの追随を許さないほどのISO感度の高さで見えないものを見えるようにします。画質のことは置いといて。
動画の例が多いのは画像撮影ではシャッタースピードを長くすることで暗い場所で明るく撮影する等、方法がある訳ですが、動画撮影だとそうもいかず、撮影できるかどうかはカメラそのものの感度に依存するからだと思います。α7sが動画のカメラだと言われているのもこの部分が強調されるからではないでしょうか。
受光部分の面積が物理的に大きい
各画素の受光部の横に信号を転送する装置のようなものがあり、そのため画素数が多いだけ受光部の面積が小さくなるという話もあります。*11
画素数が少ないことで受光部分の面積が大きいのに加えて、さらに受光部を大きくする技術が使われているようです。ワイドフォトダイオード設計。*12
画素数が多いほど間の接合部分は増えるように思います。その分、受光部として使える面積は多少減りそうです。フルサイズ分の面積をより十分に使えるのは低画素数のカメラなのだと思います。
ノイズが少ない
暗い場所でも色が撮れる、というものとかぶりそうですが、画素が小さくなるといろいろな弊害があるようです。受光面積がせまくなり、白飛びしやすくなるそうです。*13 水を入れたバケツや箱に入るボールの数などで説明*14されていますが、あまりピンとこないです。経験的にそうだということでしょうか。画素の面積が小さいと受け取れる光の量も減って感度も悪くなり、それを少ない信号を増幅しようとしたときにノイズが発生するという説明はしっくり来ます。*15
余談ですが、画素サイズを小さくしようとしても、光の波長と画素との物理的な関係で越えられない壁があるようです。*16
ノイズを表すS/N比という数値(高い方がノイズが少ない)においてもα7sは良い数値を出しています。(GH4がそれを上回る部分もあるようですが)*17
光量が落ちにくいのでオールドレンズもつけられる
*18らしいです。画素が大きいと光量が多く採れるというのは既出ですが、そうすると広角系のオールドレンズでも有利なようです。あとは、後ほど出てくる無音での撮影モードがあることでさらにシャッター幕の干渉が起こらないというメリットもあります。*19
オールドレンズ、つけるのか、、?と思いますが、選択の幅が広いのは良いと思います。
(ただし、マウント部分が金属製のため規格に準拠していないとしっかり装着できない模様*20)
使い勝手について
シャッターが無音で切れる
食事の席などで、ごついカメラでカシャカシャならしながら撮影するのがはばかられる場所でも、サイレントシャッターモードで無音で撮れます。*21*22
周りの環境に影響を与えないで撮りたいときに意外と役に立ちそうな機能ですね。最初は全然注目していませんでしたが、使い方によっては良いかもと思い始めました。
夜空の撮影にすごく使えそう
山に登ったときに見える星空というのは、空気がきれいなこともあって凄いです。言うまでもなく、ですが。 そのときに何か撮れたら良いなと思っています。写真もそうですが、動画もいいな。。ちょっとハードルが高そうですが、α7sで星の写真を撮っている方も多いのでチャレンジしてみたいなと思ったり。
結局読むべきは
開発者の言葉。
動画用カメラと言われる所以
結構、α7sは動画用カメラです、ということが言われていますが、このインタビュー読むと納得です。一般的なデジカメはイメージセンサーが取り入れた情報を間引きして記録していますが、このα7sはそれをしていません。だから、動画の評価が高いと思われます。ただ、4K動画撮影までできるのはオーバスペックだと思います。外部機器をつなげないと撮影できないので、大半の人は使わないで終わると思います。このカメラがα7シリーズでも高額なのはこの動画撮影機能があるからのような気がしてなりません。
まとめ
まとめると、結局は「暗い場所に強いカメラ」ということになりそうです。もっとたいそうなことを言えば、他の一般向け現行カメラで撮影できていた範囲を大きく広げた、つまり、撮れなかったものを撮れるようにしたのがこのα7sです。明るいものに関してはシャッタスピードを速くすれば撮れます。暗いものに関してはシャッタースピードを落として固定して撮れば撮れていました。しかしそこをこのα7sはシャッタスピード上げて撮れるようにしました。暗い場所で動いているものもなんとかこれで撮れるようになった訳です。また、40万というISOを設定できるようにすることで、ノイズ等の議論はありますが「とりあえず写るようにした」のは大きいと思います。今まで0だったものが1になったのですから。それはやはりフルサイズで1220万画素にすることで画素サイズを上げたからできたことなのではないでしょうか。感度の高さ、ダイナミックレンジの高さを追求した、ある意味実験的な機種ではありますが、革新性も面白みもずば抜けていると思います。
もちろんそのために削ぎ落とされた機能もあるわけですが、それにも勝る、高い動画撮影機能と暗い場所での撮影能力に期待したいと思います。
その他参考にしたサイト
公式サイトのあの飛行機の写真を撮ろうとした人の記録
きれいな写真が見れるレビュー
マップカメラ | KASYAPA | 222:高感度耐性が織りなす美しさ『SONY α7S』 | SONY
[PY] フォトヨドバシ SONY α7S 実写レビュー | photo.yodobashi.com |
α7シリーズの比較
本当に徹底的に付属品のレビューからやっているサイト
きれいな夜景
ニューヨーク・マンハッタンでα7SとSEL2470Zの試し撮りをしてきた | DIGITAL GRAPHER
大型センサーのメリットとダイナミックレンジ、S/N比のわかりやすいイメージ
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*2:
素子サイズと画質の関係-カメラ・デジカメの撮り方・テクニック集
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*4:
速報: α7sの高感度動画に非常に困る欠点があります: 小原玲(動物写真家)のブログ
*5:
BLOG: ソニー α7S、ISO感度別 ダイナミックレンジ
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*7:
驚愕した!夜が昼になるソニー「α7S」のISO 409600で撮影されたサンプル動画 | 男子ハック
*8:
アラスカで徹底検証! 『α7S』は最強のオーロラ動画撮影デジカメか? - 週アスPLUS
*9:
動画:ソニー α7S、ISO 409600で暗所撮影の威力がわかる比較動画 - Engadget Japanese
*10:
ASCII.jp:「α7S」"ISO 409600"でモデルさんをビデオ撮影してみた
*11:
画素数が多い高解像度なデジカメほど画質が落ちる理由 間違ったカメラ選びをしないために | デジカメの選び方 デジカメの教科書 - TRISEC
*12:
α7S 特長 : 圧倒的な高感度・低ノイズ設計 | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー
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*14:
素子サイズと画質の関係-カメラ・デジカメの撮り方・テクニック集
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*17:
ソニーα7SのS/N比とダイナミックレンジの測定結果が掲載 - デジカメinfo
*18:
"α7s"で高尾山のムササビを探しに行ってきました:ソニーショップ★テックスタッフ:So-netブログ
*19:
特別企画:検証:ソニーα7Sは広角オールドレンズの救世主か!? - デジカメ Watch
*20:
"α7s"で高尾山のムササビを探しに行ってきました:ソニーショップ★テックスタッフ:So-netブログ
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α7sで撮る『孤独のグルメ・銀座編』聖地巡礼:ソニーショップ★テックスタッフ:So-netブログ
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