20150425_雪の至仏山
2015年4月25日土曜日に至仏山(しぶつさん)へ登ってきました。
至仏山は群馬県北東部に位置し、標高2228メートルの日本百名山の一つです。近くにあの有名な尾瀬と、燧ヶ岳(ひうちがたけ)があります。少し登るとその全容が見渡せるようになりますよ!
冬季は登山口までの道路が閉鎖されて通れず、またゴールデンウィーク明けから植生保護のため登山道が閉鎖されるため、実質、雪山としての至仏山に登れる時期は2週間足らずと言うことになります(2015年であれば4月24日から5月6日までしか登れず、閉鎖が解かれる7月にはもう雪がないです)。この期間限定の雪の至仏山にチャレンジしてきました。
ルートと時間
9:57 鳩待峠の至仏山登山口
↓(2:03)
12:00 小至仏山トラバース開始
↓(0:55)
12:55 至仏山山頂
↓(昼食休憩1:20)
14:15 至仏山山頂より尻滑走で下山開始
↓(0:29)
14:44 ワル沢へ向かう樹林帯へ入る
↓(0:36)
15:20 鳩待峠の山荘に到着
登り始めて降りてくるまで、5時間17分でした。
かなりゆっくりです。
冬期道路閉鎖の理由
冬期道路閉鎖は
「冬期積雪」のため、一部道路が「全面通行止め」となります。
雪です。
「戸倉津奈木橋から鳩待峠まで」が至仏山登山のための道路なので、
H26年11月10日(月) 14:00から
H27年04月24日(木) 10:00まで
が今回の対象閉鎖期間でした。
その間は山荘も閉まっています。
尾瀬は冬季入山の自粛をお願いしています。理由は山小屋が冬季閉鎖している。峠までの道が除雪してないから移動手段が限られている。
実際、今年の鳩待山荘の営業期間は
営業期間 04/24(金)~10/18(月)迄
となっています。
登山道閉鎖の理由
ゴールデンウィーク明けから至仏山山頂への登山道が閉鎖されます。
その理由は植物の保護です。
尾瀬ケ原は主に蛇紋岩といわれる岩石でできています。
(中略)
蛇紋岩は鉄とマグネシウムを主成分とする岩石で、溶け出した高濃度のマグネシウムイオンが植物の根の水分吸収を妨げるため、植物が生育しにくく、蛇紋岩の特性に適応したホソバヒナウスユキソウなど蛇紋岩変形植物や、オゼソウに代表される北方系植物の生き残りである蛇紋岩残存種などの特殊で貴重な植物が生育しています。
至仏山では蛇紋岩から流れ出るマグネシウムの影響で植物が育ちにくいので、雪が溶けて芽が出始める時期に閉山して、ホソバヒナウスユキソウやオゼソウといった貴重な高山植物が育つようにしてしている。人が入らない環境をつくって守ってるわけです。
高山植物はそれだけで貴重なのに、蛇紋岩のおかげでさらに育ちにくくなっている。人が入ったらもっと大変。閉鎖もいたしかたないですね。
残雪期の至仏山地図とルート
今回のルートは右下の鳩待山荘から緑の立入可能区域を通って至仏山まで登り、滑走可能ルート(ワル沢へ)を尻で滑走して下りました。
雪があるとはいえ、重点植生保護区域には入らないよう注意が必要です。山頂以外の岩や地面、ハイマツなどの植物が出ているところは入らないようにしてください。また、高天ヶ原(なんという神々しい名前)の重点植生保護区域も進入禁止です。
至仏山の名前の由来
至仏山、仏に至る山。仏に関する言い伝えがある山なのだろうと、勝手に恐れ多い気持ちになっていましたが、調べてみると、もっぱらが近くを流れる渋沢(しぶっつぁわ)からとられた「しぶつ」であるといっています。
田辺和雄君は、土地の人がこのムジナッツァワをシブッツァワとも呼んでいるのを聞いた。シブッツァワは渋沢であって、山ではよくある沢の名である。このシブッツァワの最初の三字が至仏となったのであるまいか。 (深田久弥『日本百名山』78 新潮文庫 P134~)
山名は、仏教には関係なく、ムジナッ沢(つあわ)の別名「渋ッ沢」に由来するという。
登る道がなくて渋沢沿いに登ったので、その「しぶっさわ」から来たのでは、との考えもある。
鳩待峠の交通規制
冬期の道路閉鎖とは別に雪がなくても津奈木~鳩待峠口では交通規制が行われています。
詳しくは公益財団法人 尾瀬保護財団鳩待峠口の交通対策のお知らせをご参考に。
規制期間中は津奈木ゲートから鳩待峠まで自家用車では来ることができなくなります。3.5kmくらいが規制区間ですが、手前10kmくらいからしかバスに乗れず、駐車代1000円、バス往復1860円かかります(尾瀬第一駐車場または尾瀬第二駐車場に停めてそこからバス)。鳩待峠まで自家用車で行けるのは冬期閉鎖解除後と8月、9月の平日ぐらいしかないです。あとは閉鎖前。
このパンフレットがわかりやすいです。
19時以降は問答無用で道路が閉鎖されるので、それまでに下山しないと帰れなくなります。そういう場合は山荘に泊まるか車中泊でしょうか。
鳩待峠(登山口)から至仏山山頂へ
車で、開通したばかりの県道 尾瀬ヶ原土出線を通って鳩待峠まで来ました。
しかし、まさかの駐車場満車。
登山口付近の方にも行ってみましたが、鳩待休憩所の方にはバスに乗ってきてもらうしかないと言われる。停められるスペースは結構ありそうでしたが、バス専用の駐車スペースと見られる。仕方がないので戻ってもう一つの駐車場のおじさんにはなしたらなんとかスペースを見繕って停めさせてもらった。おじさんに感謝。なんでも、朝の6:30には満車になってたとのこと。駐車代2500円也。
斜めに入れて非常に目立つ感じだった。。
駐車場から歩いてすぐに鳩待山荘につきます。トイレはここくらいしかなかったので行っとくべし。
すぐそこに登山口があります。
ルートと植生保護区域、危険区域の説明。上に貼ったリンクと同内容ですね。
どーんといきなり至仏山山頂が見えます。
道があるようでないような状態のところを進んでいきます。赤いテープがあるらしいです。
燧ヶ岳もすぐに見えるようになります。
小至仏山のアップ。巻き道を通っている人の列が見えます。
至仏山アップ。
茂った木。
朽ちた木。
燧ヶ岳の手前にある雪原が、かの「遥かな尾瀬」の尾瀬ケ原です。
これが赤いテープですね。
スノボしにきている人たちがたくさんいました。純粋な登山客よりも多いです。ボード重そうだな。。スノーシューも歩きにくそう。ボーダーがスノーシューはいて登っているのはスノボのブーツのまま歩けるからでしょうか。
しばらく歩くと小至仏山の山頂が見えてきました。
小至仏山に近づいていきます。西側は雪がないですね。そこが重点植生保護区域です。
鳩待山荘と休憩所が小さく見えます。さっきはあそこから眺めてたんですね。
スノーボーダーたちは非常に苦労してる感じでした。重いでしょほんと。(と思って調べてみたらボードは3kgくらい、靴は両方で2kgくらいでたいしたことなかった。)
下からも通っているのが見えたトラバース道です。この道をつくってくれた人に感謝。
ボーダーが降りていった痕。
小至仏山山頂です。
至仏山山頂が近づいてきました。
山頂に到着しました!人も結構いっぱいいて、雪がない箇所もあります。
ここで昼の休憩です。
西側の大パノラマ!谷川岳が見えます。
妙高山でしょうか。
今度は東側!
尾瀬ケ原がさほどよりもよく見えます。
山頂の標識より高いところもありますが行きませんでした。
至仏山山頂からワル沢、鳩待山荘へ
山頂から東側のワル沢へボーダーたちが滑走していきます。
我々も滑走開始!人に備わった最高の滑走器官を最大限に利用します。それは尻です。
あっという間に下っていきます。小至仏山があんなに小さく。
至仏山山頂も一気に遠のきます。
人の尻の痕をたどるとスムーズに滑れます。
すぐに林地帯へたどり着きます。
ボーダーに追い抜かれていきます。
川から雪が溶けていっています。
こんなふうに地割れのように雪が崩れているところも。少々危険なので慎重に進みます。
少し登りがあってそろそろゴールかな。
鳩待山荘の屋根が見えた!
下山完了!休憩所に人がたくさん集まっています。バス待ちですね。
休憩所にお土産がたくさん売ってたので、何か欲しい場合はここで買うといいです。
駐車場のおじさんに挨拶して帰途へ。
吹割の滝に寄り道
一緒に行った友人のたっての希望で東洋のナイアガラ、吹割の滝へ。沼田インターへの道の途中にあります。滝しか見ませんでしたが、結構色々まわれるところがあるようです。
近くの無料駐車場に停めました。ここは専用駐車場。駐車代500円。
ゴーッとすごい音。
川の流れもかなり速いです。
しぶきが上がって冷たい。
間違って落ちたら冗談抜きで流されます。
温泉:望郷の湯
駐車場のおじさんに勧められた道の駅にある温泉に来ました。望郷の湯です。
料金は2時間560円からで、食事をとるとプラス1時間無料になります。
泉質はアルカリ性単純温泉で、入ると体がぬるぬるするやつです。そこまで室内に大風呂と水風呂、サウナがあり、露天風呂からは山が見えてかなり良い展望。ただ人がたくさんいるので狭く感じます。洗い場の数も少ないので待つことになるかもしれません。
この施設についているレストランからの展望もよく、豚味噌カツを頼みましたがおいしかったです。
まとめ
至仏山の雪山が滅多に登れるものではないと言うことで行ってきましたが、スノーボーダーの数には驚きました。明らかに登山客より滑走客の方が多い状態でした。傾斜もなだらかでたしかにバックカントリーとしては良いかもしれません。登るのも急登がなく、緩やかな傾斜を登っていたらいつの間にか山頂に到着しているような感じです。ただ、道を知らせるような標識がなく、赤いテープをたどるしかないところが少々難易度を上げている気もします。足跡だらけで方向がつかみにくいところがありますのでそこは注意です。雪質としてはもう解け始めていたのでかなり湿り気のあるものでした。履いてきたのが雪山用登山靴ではなかったので、結構水がしみ込んできました。アイゼンも6本歯の軽アイゼンだったので結構滑っていました。こういう時期こそ防水機能が役に立つのかもしれません。もう少し防水できている靴を履いてくればよかった。
尻滑走しやすい山、それが至仏山だと思います。結構記録をみてると滑走目的で行っている人がやはり多い。山頂から滑走できるし登るのなだらかだし。レインウェアの上下を着れば冷たい思いをせずに快適に滑れますよ。尻で。速度も足で殺しながら行くと良いです。速度が出過ぎたら必ずブレーキを。